AIに社外秘を触らせないためのハーネス設計
顧客データを外に出さない5つのルール
顧客の数字をAIに見せたいが、外に出てしまうのが怖い。会計代行の現場で、いちばん多く聞く心配はこれでした。
先日お話しした会計入力代行の方も、同じ点を挙げていました。「A社の情報がB社に出たら困る」「社外に出るのも良くない」。ここでは、自社で実際にやっている考え方をもとに、顧客データを外に出さないための設計を整理します。
なお、ハーネス設計の基本は、すでにハーネス・エンジニアリングの記事で書いています。この記事はその関連編です。
前提:トレードオフになっている
ハーネス設計は、ガチガチにすればAIが動けなくなり、緩めれば危なくなる、というトレードオフです。突然クレジットカードを入れたからといって、AIが買い物を始めたりはしません。必要な部分は、Claude Code側がある程度は設計してくれています。そのうえで、「この権限は与えてはいけない」を自分で決めるのが、権限設計です。
ルール1:外に出る出口は、下書きで止める
私の運用では、WordPressの記事、Facebookの投稿、Xの投稿、メールは、すべて下書き保存までです。送信ボタンを押すのは人間。AIは文面を考えて、入力欄に入れるところまでを担当します。
ルール2:分析結果は「外には出さない」と明記する
もっとも確実なのは、設計に書いてしまうことです。
顧客のデータ分析結果は、WordPress・SNS・メールなど外部に出る場所には、絶対に書かない。
「うまく気をつけて」ではなく、禁止として書く。これで、記事を書かせたときに分析結果が混ざる可能性を、設計として塞げます。
ルール3:外向けの文章では、社名を伏せる
どうしても事例として書く場合は、「A社」「B社」のように伏せ字にする、と決めておきます。ルール2のうえに重ねる、もう一枚の保険です。
ルール4:顧客ごとに作業の場所を分ける(一案)
通常の設計では、A社の情報がB社に出ることはありません。そのうえで念のため、顧客ごとにフォルダを分け、作業はその中だけで行う、という運用も考えられます。
ルール5:お金が動く作業は人の手に残す
振込のように実際にお金が動く作業は、Claude Codeにできなくはありません。ただ、間違えたときに取り返せないので、人の手に残します。請求書の作成や仕訳の入力は任せやすい領域です。
制限しすぎると、今度は使いにくくなる
確認だらけにすると、AIの「待ち」が増えて、かえって手間になります。私の場合は、1件ずつ確認するのではなく、10件分をまとめて入れてもらい、1回で確認する形にしています。安全と速さの両立は、確認の「回数」ではなく「まとめ方」で調整します。
- 止めるところ:外に出る出口(公開・送信)、お金が動く操作。
- 書いて禁止するところ:顧客データの外部への記載。
- 任せるところ:入力、整理、下書き、分析。
守るべき線を先に決めておくと、AIには安心して広く任せられるようになります。