「いい感じに編集して」だけで
動画は仕上がるか
スマホの動画が、いつの間にかPCに自動で同期されていた。せっかくなので放置せず、「編集して」とだけ頼んでみた。編集ソフトは一切開かず、Claude Code(AIエージェント)との会話だけで、どこまで動画編集が形になるかを試した記録である。
今回の題材は、長野県白馬村を巡った日の記録。スマホで撮った17本のクリップが、気づけばPCのフォルダに勝手に並んでいた。せっかくなので、良さそうなカットを選んでVlog(旅行動画)っぽく仕上げてもらうことにした。
実際に打った指示は、次の4つだけである。技術的な指定は一切していない。
- ①「動画をアップロードしたら編集をうまくできる方法教えて」
- ②「さっきスマホから勝手にパソコンが動画をダウンロードしてたみたいなんですけど、何かいい動画を見つけて音楽つけて文字つけてvlogぽくして」
- ③「音楽が悲しい感じになってるから、vlogっぽいのない?」
- ④「2番目に出てくる場所がわからなかったね。白馬大橋?大橋ってつく場所」
この4つのやり取りだけで、17本のクリップからの選定、縦型動画への整形、テロップの生成、BGMの差し替えまでが完了した。
具体的には、Claude Codeは次のことを自分で判断・実行していた。
- クリップの選定:17本のクリップそれぞれのサムネイルを自分で抽出し、画像として確認したうえで、Vlogに使えそうなカットを選んだ。
- フォーマットの調整:横撮りの素材はぼかし背景を敷いて縦型(9:16)に自動整形。撮影時の向きが揃っていなくても、仕上がりは統一された。
- 編集の実行:ffmpegをその場でPythonから呼び出し、トリミング・結合・テロップの焼き込み・BGM合成までを実行した。専用の動画編集ソフトは一度も開いていない。
- 場所の解説テロップ:映像に写り込んだ道路標識を読み取り、地名を字幕として追加した。
- BGMの差し替え:「悲しい感じ」というフィードバックだけで、手持ちのBGMライブラリから別の曲を選び直した。
場所の特定は、実は完全自動ではなかった。
映像に写り込んだ「松川」「白馬村倉下」という道路標識をAIが読み取り、そこに「白馬大橋ってとこじゃない?」と筆者が記憶で補足し、AIがWeb検索で裏取りする——という、人間とAIの共同作業だった。この点は誇張せずに書いておきたい。AIが最初から全部知っていたわけではなく、手がかりを拾い、人間の記憶で補い、また調べて確かめる、というやり取りの積み重ねで場所は特定された。
追加費用はほぼゼロだった。BGM素材は以前から保有していたものを流用し、動画処理はすべて手元のPCで完結している。
今回わかったのは、動画編集の専門知識やソフトの操作方法を知らなくても、「いい感じにして」「これ違う」という日本語のフィードバックだけで、実用に足りる水準の編集が成立する、ということだ。もちろん、細部の作り込みや演出の妙は人間の手による編集には及ばない。ただ、「素材を整理して形にする」という工程の大半は、会話だけで肩代わりできる段階に来ている。
弊社では、こうしたAIエージェントの実務活用についてのご相談も承っています。ご興味があればお気軽にお問い合わせください。