11月ローンチまでに
作るもの・作らないもの
開発の報告というと「次はこれができます」の列挙になりがちだ。でも worry.team で本当に伝えたいのは、作らないと決めたもののほうかもしれない。体温計に「熱を下げる機能」を足さないのと同じ理由で、足さないものがある。
worry.team は β版として公開中で、2026年11月の正式ローンチを目指している。残り3か月で何に集中し、何に手を出さないか。ここで書いておく。
8月までにやったこと
この夏は新機能ではなく、土台の補強に使った。通知メールや購入完了メールの整備、予約の二重登録の防止、ボット登録への対策、管理画面の整備。細かい不具合を多数修正し、有料機能の基盤を固めた。見た目は何も変わっていないが、月額制のプランを出すために必要な足場がようやく揃った。

11月までに作るもの
- 月額制プラン:価格や内容は決めきっていないが、有料で使い続けられる形を用意する。無料の範囲も残す。
- 心の調子グラフの見やすさ:7つの感情(喜び・怒り・悲しみ・自信・困惑・恐怖・孤立感)と、幸福度・ストレス度・落ち込み度・孤独感の推移を、「自分の平熱」が一目で分かる形にする。測るだけでなく、読める体温計にする。
- 6匹のAIパートナーの会話品質:役目ごとに「しないこと」を決めた(理由を聞かない、できなかったことは褒めない、答えは出さない、励ましは頼まれてから)。それが会話のすみずみまで守られているかを、毎週直し続ける。
- 人のコーチへの相談枠:AIでは足りないときの受け皿。予約から支払いまでを途切れなくする。

作らないもの
こちらのほうが大事だと思っている。
- 病気かどうかを見分ける機能は作らない。体温計は風邪と肺炎を区別しない。worry.team のスコアも、医療が必要かどうかを判定するものではない。それを装う機能は、どれだけ求められても足さない。
- 不安を煽る通知は作らない。「スコアが危険域です」のような言い方はしない。言えるのは「下がっている」まで。測らないと危ない、ではなく、測ると分かる、のほうに寄せる。
- 他人と比べる機能は作らない。ランキングも、平均との比較も出さない。平熱が人によって違うように、心のスコアの高い低いは他人と比べても意味がないからだ。
- 無理に数字を上げにいく機能は作らない。前向きな言葉で気分を持ち上げ、スコアを良く見せることはしない。それをすると、心の体温計として信用を失う。測った数字には嘘をつかせない。
- 「良くなります」と言う機能は作らない。worry.team が引き受けるのは「わかる」「気づく」「続けられる」まで。状態を変えるのは本人と、人のコーチと、必要なら医療の仕事だ。
体温計に「熱を下げる機能」を足さないのと、同じ理由で足さない。
医療との線引き
worry.team は精神科医の今野裕之先生(精神科専門医・精神保健指定医・日本ブレインケア・認知症予防研究所所長)と提携している。ただし先生は運営者ではなく、個々の相談内容の判断には関与していない。AIパートナーは6匹とも、危機のサインを受け取ったら会話を続けず、相談窓口へ渡す。眠れない日が重なる、つらさが何週間も続く——そういうときは医療機関や公的な相談窓口へ。この導線は「作るもの」ではなく、最初からあるものとして扱っている。
研究所として
posii は「心を測る研究所」を名乗っている。worry.team は製品であると同時に、心はどこまで測れるかという問いの実験場だ。ここで分かったこと——どの言葉がどの感情軸に効くか、どの頻度で測れば推移が読めるか——は、企業向けのAI開発にそのまま応用している。作らないものを決められるのも、研究として「測ること」に絞っているからだ。
11月に出すのは、よくできた体温計だ。熱は下げない。でも、測ると分かる。それだけを、きちんと作る。
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