
お笑い芸人でありながら実業家としても活躍する西野亮廣さんが、自身のYouTubeチャンネルで語った「20代で差がついたら、人生で取り返すのは難しい」という発言の信憑性に疑問をもったのでシミュレーションしてみました。
果たして、人生の“スタートダッシュ”で決まってしまうものなのでしょうか?
本記事では、西野氏の主張の内容を紹介しつつ、それに対するシミュレーションによる検証、さらに実際に「逆転」を体現した筆者の体験談を交えて、人生の可能性について掘り下げていきます。
西野亮廣氏の主張:「20代で勝った人がそのまま勝ち組に」
動画(リンク)内で西野さんは、以下のように述べています。
「20代で勝った人は、30代でも勝ち組になる。逆に20代で負けた人は、その後も負け組になる可能性が高い」
この考え方の背景として、西野氏は「富裕層と貧困層の格差は広がる一方であり、最初に有利な立場に立った人がそのまま勝ち続けるゲームになっている」と説明。例として「コイン投げゲーム」を挙げ、「資本がある人ほど、次の勝負で有利になる構造」を指摘しました。
富裕層と貧困層の差が広がる理由を、コイン投げゲームを例に説明しています [08:49]
「最初に負けたら詰み」なのか? ──検証のためのシミュレーション
この主張を聞いたとき、多くの人が「じゃあ最初に失敗したら、もう人生終わりなのか?」と不安を感じたことでしょう。
そこで、実際にシミュレーションを用いてこの仮説を検証してみました。
https://colab.research.google.com/drive/1HYrTbPZULIC08iJN7S8uuSwBUI-i8GcB?usp=sharing
シミュレーション概要
- 2人のプレイヤーがじゃんけん勝負を繰り返す。
- 初期資金は各1000円。
- 勝ったプレイヤーは、相手の所持金の20%を受け取る(=小さな勝利が蓄積される設計)。
- 100回勝負を1セットとし、それを1000回繰り返して統計を取る。
結果
- 最初の勝負に勝ったプレイヤーが最終的に勝った割合:63.4%
- 最初の勝負に負けたプレイヤーが逆転した割合:36.6%
実体験:数学しかできなかった
筆者自身も「最初は負けていた側」の人間です。
中学までは、数学以外の科目が壊滅的で、進学したのはいわゆる“底辺高校”。当時の自分は、西野さんの言う“負けスタート”をまさに体現していたと言えるでしょう。
しかし、そこから人生の戦略を大きく変えました。
「他の科目は捨てて、数学だけに振り切る」──それが僕の選択でした。
その一点突破が功を奏し、やがて米国の大学で数学と物理を学び、スカラーシップを得て大学院では数学の博士課程に進学。さらにAIスタートアップを立ち上げ、今では自分のサービスを通じて、他者の人生に寄り添うような仕事をしています。
この経験から断言できます。
「負けた」と思ったら、すぐに戦略を変えればいい。それができれば、むしろ早期の“敗北”は方向転換のチャンスになり得ます。
悲観するな、やり直しは可能
「20代でついた差は一生埋まらない」と聞くと、若い頃に大きな成功を収められなかった人は希望を失ってしまいがちです。
しかし、このじゃんけんゲームでも確率的には逆転のチャンスは3回に1回以上の確率で存在します。
そして何より、筆者自身がその逆転を経験してきた一人です。
結論:「早く走れた人」は有利。でも「走り方を学べた人」はもっと強い
西野亮廣さんの言うように、20代でついた差は確かに大きな意味を持つかもしれません。
しかしそれは、スタート地点が違うだけであって、ゴールにたどり着く方法は一つではないのです。
シミュレーションで見えた「逆転の37%」、そして実体験で得た「戦略変更の力」は、
「人生はいつからでも巻き返せる」ことを教えてくれます。