この本は、筆者が感じた切実な問いから生まれました。FTXの破綻をきっかけに、Web3ビジネスがときにポンジスキームのように見える現状に疑問を抱いたのです。でも本来はAIとWeb3を結びつけることで未来における素晴らしいビジネスチャンスが広がっていくはずで、筆者はそう信じています。AIやWeb3の導入は、今後のあらゆるビジネスにおいて避けられない存在となるでしょうし、その中で新たなビジネスチャンスが数多く生まれることを予感しています。そこで、企業やフリーランスのみなさんにとってどのようなビジネスが有望なのか、ビジネスパーソンや経営者、企画立案者の方々にとっても、道標となる本をご提供したいと考えました。
この新書は「AI×Web3の未来 光と闇が次世代の実業に変わるとき」と題しており、AIとWeb3の組み合わせによる新たなビジネス展開に焦点を当てています。現代の不確実な時代において、AIとWeb3は画期的な可能性を秘めています。本書では、その可能性を客観的に探求し、ビジネスパーソンや経営者の方々にとって貴重な情報を提供することを目指しています。
「AIやWeb3の出現により、現代は不確実な時代になった」といった煽り文句で始まる本も多く存在しますが、本書では冷静な視点で情報を伝えることに重点を置いています。筆者は数学科出身であり、専門的な知識を持ちながらもわかりやすさを追求することを心掛けました。図を多用し、専門的な知識をお持ちではない方にも理解しやすいように配慮しました。
本書は大まかに「過去」、「現在」、「未来」の流れに沿って進行しています。Part2ではAIの概要や最近のトレンド、将来の展望について解説しています。同様にPart3ではWeb3の解説と現在の問題点について触れています。Part4では将来のビジネスアイデアを提案し、Part5ではシンギュラリティに向けた社会の流れについて考察しています。本書では、技術の進化による未来予想や新たなビジネスチャンスを提示しています。
本書では、一部の専門用語の定義も行っていますが、わかりやすさを重視しているため、ビジネス寄りの解説を行っています。AIについては「Transformer」を指し、Web3は「分散型のWebでブロックチェーン技術やトークンベースの経済などの概念を取り入れたもの」と定義しています。また、メタバースに関しても関連性を考慮し、Web3として捉えています。本書では、プログラミングの知識がなくても読みやすい内容となっており、基本情報も詳しく解説しています。
筆者の前著『誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性』(光文社新書、共著)では、AIに対する過剰な期待やネガティブな側面について取り上げていました。しかしながら、最先端技術であるTransformerの進化により、多くの新たな予測が実現可能になってきました。本書では、前著との一貫性を持ちつつ、現実的な視点から技術の可能性を探求しています。Part4では、前著での予測の振り返りと新たな予測を行い、テクノロジーとビジネスの未来について考察しています。
また、本書では10年〜20年後において多くの仕事が変化することを指摘していますが、それと同時に新たなビジネスの創造や最新テクノロジーの活用が重要であると述べています。技術革新の時代において仕事が減少することは一般的であり、AIやWeb3の活用能力が求められる時代に備えることが重要です。
本書では、多くのテクノロジーに触れながらも、わかりやすく最新の情報を提供することを目指しています。将来のビジネス展開に役立つ参考資料となり、最新テクノロジーについて学びながら新たなアイデアを得ることを期待しています。あなたの未来の活動に貢献できれば幸いです。
大河原 潤